eスポーツの人気に企業も注目
eスポーツは世界各地で競技人口とファンを急激に増やし大きく注目されています。日本でもプロeスポーツ選手やプロeスポーツチームが活躍を見せています。
人気が高まるにつれ、eスポーツ選手・チームを支えるスポンサーになる企業や、eスポーツ大会の運営や協賛をする企業が増えてくるようになりました。
今回は、日本国内のeスポーツに関わる企業がどのように関わっているのかについて紹介していきます。
eスポーツに企業が参入する理由とは
近年、eスポーツ業界に多くの企業が参入するようになりました。
スポンサーになったり自社でeスポーツチームを作ったりとさまざまです。また、ゲーム業界の企業だけでなく異業種の企業も参入するようになったのは大きな変化でしょう。
それはeスポーツの盛り上がりが影響しています。多くの人がeスポーツをプレイし、観戦する人も増加しているため、企業がスポンサーになることで大きな広告効果が期待できるのです。
企業のeスポーツ投資5選
企業がeスポーツに投資する方法は大きく5つに分けられます。主な投資の対象をみていきましょう。
1. プロeスポーツチームのスポンサー
eスポーツにはゲームで生計を立てるプロのチームが存在します。
そのプロチームのスポンサーになることで、ユニフォーム広告として企業ロゴを掲載するなどの自社宣伝や、コラボ商品やコラボイベントの企画、物販への協力などが期待できます。
例えば、有名プロゲーミングチーム「DeToNator」であれば「ロジクール」や「ガレリア」「沖縄ファミリーマート」などの企業がユニフォームスポンサーとなっており、「ロジクール」や「ガレリア」とのコラボゲーミングデバイスの販売、沖縄に「沖縄ファミリーマート」とのコラボ店舗を開くなど、その知名度を活かした活動を行っています。
スポンサー企業と契約するには大会での優勝など目立った実績を求められます。また、チームに有名ストリーマーや有名配信者がいれば知名度が上がり、スポンサーを獲得できる可能性があるでしょう。
まだまだ日本国内にプロeスポーツチームが少ないことが課題ですが、eスポーツを学べる専門学校なども登場しており、強く有名なプロゲーマー・プロチームが増えていけば、一般的な投資方法となるでしょう。
2. プロeスポーツチームの運営
「1」で挙げたように強豪プレイヤー・チームが活動をする中で大会賞金や知名度を得てプロになっていくのが一般的ですが、最近では企業が直接強豪プレイヤーを雇ってプロチームを運営するというスタイルも出るようになりました。
サッカーのプロチームとして有名な「東京ヴェルディ」は「東京ヴェルディeスポーツ」というプロeスポーツチームを運営、「吉本興業」は強豪プロeスポーツチーム「Libalent」と協力して「よしもとLibalent」というeスポーツチームを結成し海外を中心に活動、ゲームのデバッグやゲームメディアを運営する「デジタルハーツ」は「DIGITAL HEARTS Gaming」という実業団チームを持っています。
自社でチームを運営することで、自由かつスピーディーに企業やそのサービス・商品の広告活動にeスポーツを活用できるというメリットがあります。
3. 大会・イベントへの投資
eスポーツの大会やイベントのスポンサーになるという投資方法です。大きな大会は注目度が高く、会場だけでなく配信で観戦する人も多いので大きな宣伝効果が期待できます。
大会・イベントの会場にスポンサー企業の広告を配置したり、配信中に商品やサービスを告知・広告したりすることもできるでしょう。また、大会やイベント時のみの投資ですのでスポンサーとして参入しやすいことがメリットです。これらの理由から日本国内はもちろん世界的に見ても大会・イベントに投資する方法が人気です。
ゲームのタイトルによって注目度も変わるので、「ストリートファイター」「Fortnite(フォートナイト)」「PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS(PUBG)」「League of Legends(LoL)」など人気の高いゲームタイトルの大会や、複数種目・ゲームタイトルを集めた総合的な大会にスポンサーがつきやすい傾向にあります。
例としては「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE」を主催する「NTTドコモ」や、「STAGE:0(全国高校対抗eスポーツ大会)」のスポンサーとなっている「コカ・コーラ」や「ロート製薬」などが挙げられます。
4. eスポーツ施設の運営
eスポーツの大会やイベントを行うには、会場となる建物はもちろん、内装・配信設備・回線・照明・観客席・選手席・ハイスペックPC・ゲーミングデバイスなど専門的な環境を整える必要があります。
全てを整えるのは大変ですから、充実した設備を備えたeスポーツ施設を貸し出すというビジネスを行う企業も出てくるようになりました。最近では「Red Bull」や「ソフマップ」などが、大会やイベントへの投資だけでなくeスポーツ会場の運営も行っています。
この投資方法を行っている企業は日本にはまだ少なく、今後注目したいところでしょう。
5. 社内の環境改善
社内でeスポーツを行うためにお金を出すという企業も増えてきました。
eスポーツ関連事業を立ち上げるのやプロチームを運営するのではなく、部活のように社員同士でeスポーツを楽しむために環境を整えるというものです。
その目的として、社内のコミュニケーションを増やすことや採用活動を有利にすることなどが挙げられます。また、企業同士が交流できるeスポーツ大会やイベントも増えてきており、新たな商談機会も生まれるかもしれません。
それだけeスポーツが他のスポーツのように広く認められてきたということでしょう。メディアで話題になればeスポーツに力を入れている会社として知名度が上がる可能性もあります。
eスポーツに投資している企業
eスポーツに参入している主な企業を紹介していきます。
Red Bull
「翼をさずける」で有名なエナジードリンクの「Red Bull」は、スポーツから音楽、カルチャー、イベントなどさまざまな活動のスポンサーになっています。
eスポーツの大会、選手、チームなどのスポンサーとなるだけでなく、eスポーツ施設「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」を運営するなど、業界全体を盛り上げています。
Honda
日本を代表する自動車メーカーの「Honda」は、海外のトップチームである「Team Liquid」とスポンサー契約をしています。
ゲームと直接的な関係はない業種ですが、若年層にホンダブランドを認知させ、親しみを持たせる狙いがあります。
KDDI
「KDDI」は携帯電話キャリア「au」を運営する大手通信企業。
国内の強豪eスポーツプロチーム「DetonatioN Gaming」とスポンサー契約をしているほか、日本eスポーツ連合JeSUのオフィシャルサポンサーにもなっています。
eスポーツにおいて通信は必要不可欠なので、新な可能性やビジネスチャンスにつながることでしょう。
日清食品
「日清食品」は2016年からeスポーツに参入しており、「リーグ・オブ・レジェンド」の大会に協賛しています。
eスポーツは若年層に人気があり、ゲームに時間を割きたい層からすれば手軽に食事ができる即席麺は便利なので、日清食品とeスポーツの相性は良いのではないかと言われています。
Digital Hearts
「Digital Hearts」はゲームのデバッグやゲームメディア「4Gamer.net」を運営している企業です。
自社内の社員を中心に「DIGITAL HEARTS Gaming」というeスポーツの実業団チームを作ったり、「ロート製薬」と協力して大会を開催したりしています。
まとめ
少し昔までは、eスポーツに関わる企業といえばゲームソフト会社や、ゲーム機会社、PCやゲーミングデバイスを製作する会社、ゲーム関連のイベント会社やデザイン会社がほとんどでした。
しかし今では、「コカ・コーラ」や「日清食品」など直接的にはゲームに関係しないような業種の会社が次々とeスポーツに関わるようになりました。
インターネットやスマホがもはやインフラともいえる時代となり、それに伴いゲームやeスポーツが我々の生活に密着するようになったということでしょう。eスポーツの広告効果はますます高くなり、それに伴い企業のeスポーツ投資も増えてくることが予想されます。
もしかしたら、意外な会社がeスポーツと関わっているかもしれませんね。